一方、欧州ではヨーロピアン・カルテットを組み、リリカルな演奏を聴かせてくれた。次も彼のアルバムで『Death and the flower』。赤いバラのジャケットが印象的で、リクエストも多かった。この二枚は大丈夫だったので、よくかけた記憶がある。
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次の三枚は、いずれもドイツのECMレコードのもの。ベルリン・フィル”のコントラバス奏者だった、マンフレート・アイヒャーが、The Most Beautiful Sound Next To Silence"(沈黙の次に美しい音)をコンセプトとして、キース・ジャレットを始め、多くのジャズ・ミュージシャンのアルバムを世に送り出した。Steve Kuhn(スティーブ・キューン)の『ECSTASY』は、1974年に出したソロアルバム。ECMサウンドに共通する冷たい透明感や緊張感が溢れている。
クリスマスとジャズというのは相性がいいのだろう。名盤が結構ある。特にヴォーカルは、ありすぎて困るほどだ。左は、ジャズではなくレゲエ。ジングルベルや赤鼻のトナカイなどの定盤をラスタマンが思い切りレゲエで歌っているという珍盤。アマゾンでクリスマスを迎えたことがあるが、熱帯や南半球のクリスマスは真夏なので、水着姿のサンタがいたね。セクシーなサンタもいるけど、基本的に日本と違って商業的行事ではなく宗教行事なので、家族で静かに過ごすのが定盤。次は、ギターの名手、ウェス・モンゴメリーの『A Day In The Life』。ピアノがハービー・ハンコック、ベースがロン・カーターという豪華な顔ぶれ。ビートルズの名曲をカバーして、フュージョン・ジャズの先駆けとなった名盤。決してイージー・リスニングではないですよ。
次は、日野皓正、菊地雅章、ジョー・ヘンダーソンの『JOE HENDERSON AND KIKUCHI, HINO IN CONCERT』。アルバムにはない「Dancing mist」の演奏。1971年8月5日 東京・都市センター・ホールのコンサートから。真夏のコンサートだが、真冬に湯気が立つホットウィスキーを両手で抱えながら聴きたい熱い演奏。
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マル・ウォルドロンといえば、ビリー・ホリデーに捧げた『LEFT ALONE』がなんといっても有名で店でもリクエストが絶えなかったが、この『SKIPPIN’』は、所謂ジャケ買いというやつで、洋酒の瓶が並ぶジャケットが気に入って買った様な気がする。しかし、ハード・バップの演奏も聴き応えがある一枚。次は、テナーサックス奏者、STANLEY TURRENTINEの『LET IT GO』。当時奥さんだったシャーリー・スコットのオルガンとの演奏が非常に聴き心地が良い大好きなアルバム。ベースは、ロン・カーター。
一番右は、ポール・デズモンドの『Glad To Be Unhappy』。好きな曲はB面の一曲目の「A Taste Of Honey」。ウエストコースト・ジャズを代表するサックス奏者。ジム・ホールのギターとの共演が優しく心地いい。雪が深々と降る静かな冬の夜に聴きたい一枚。
『MY LIFE AS A DOG』という1985年のスウェーデン映画があった。1950年代のスウェーデンの薄幸な少年を描いた映画だが、日本の少年もスウェーデンの少年もそう変わりはなかったんだなと染み染み感じたいい作品。思ったのは、何の因果か人工衛星に乗せられてしまったライカ犬のような人生にも、爪の垢ほどの希望はあるということだろうかということ。確かあの世界で最も有名になった(本人はその事実を知らないが)犬は宇宙の塵と消えたのではなかっただろうか。どんな有名人も富豪も最後は塵となるのが世の定め。核=原発、戦争を止められない愚かな人類を思うと、形而上学でいうところのレーゾン・デートル(存在理由)を考えずにはいられない。
www.youtube.com ◆ その左は、チェット・ベーカーの『She Was Too Good To Me』という少し哀しいタイトルのアルバム。A面の最初の曲が『枯葉』である。これもピーター・キャットには当然あったが、リクエストが絶えないアルバムのひとつだった。女性からのリクエストも多かった様に記憶している。印象派のスーラの点描画の様なジャケットだが、写真を加工したものの様だ。写真を一度刷版にして網点を拡大してずらして作ったのだろうか。今ならフォトショップで簡単にできるが。
私が所蔵するアルバムから、春にまつわる好きなアルバムと曲を集めてみた。秋に比べると意外に少ないのに驚いた。 『April in Paris』 カウント・ベイシー・オーケストラ。春に似合うアルバム。私の一推しは、やはりこれ。パリの凱旋門をバックに、ご婦人に赤い花束を渡すベイシーがジャケット。愛溢れる名演奏。エンディングテーマは、One more time! Let’s try! One more ONCE! と3回繰り返されるが、ライブでは興に乗ると5回も繰り返したそうだ。 『merrill at MIDNIGHT』ヘレン・メリルの「SOFT AS SPRING」ニューヨークのため息と言われる彼女の繊細なハスキーボイスがたまらない。
『A DAY IN THE LIFE』ウェス・モンゴメリーの「WINDY」爽やかに吹き抜けていく春風のような心地良い演奏。70年代のショッピングセンターでよく流れていた記憶がある。
www.youtube.com ◆ 【信州の里山】五一山脈踏破 Goichi Mountain range in Nagano 『April in Paris』カウント・ベイシー・オーケストラのゴージャス且つダイナミックな演奏がBGM。坂城町の坂城神社から村上義清の葛尾城跡経由で五里ケ峯へ。 五一山脈を千曲市の一重山まで新緑と花の尾根を縦走したスライドショー。ベイシーサウンドは、なぜか信州の春の風景とよく合うような気がする。 *Yutubeでは、ハイビジョンでご覧いただけます